ノートパソコン

まずノートPCは使っていれば自然に熱を持つので、バッテリーを接続して使う限りは(本体の冷却性能にもよりますが)発熱自体は避けることができません。これについては仕方ないでしょう。

しかし問題なのは、普通のノートパソコンバッテリーでの駆動時間を延ばすため、電源プラグをコンセントに差していれば勝手に100%まで充電されることです。自宅で使用する「電源プラグを差しっぱなし」という運用方法が、自動的に「バッテリー残量100%近くで充放電を繰り返す」あるいは「満充電に近い状態で保管される」という状態を招き、ほとんど使っていないバッテリーをどんどん劣化させて寿命を縮めていくわけです。つまり「家で普通に使い続けること」自体が「リチウムイオンバッテリーにとってかなり劣悪な使用環境」になってしまうのです。

熱と通常使用による劣化を防ぐために「バッテリー自体をPCから外しておく」という手はありますが、もしフル充電したまま保管しているなら、装着したままと同じ「劣化しやすい保管状態」になってしまいます。また、充電しない(使い切った)まま外しておくと、今度は逆に過放電状態になり使えなくなる可能性が出てきます。

上記のリンク先などの話を総合して考えると、バッテリーを外しておくときは半分(50%)程度充電して高温にならない暗所などに保管しておき、自然放電することも考えて定期的(半年程度)に再充電するのが望ましい環境と言えそうです。ただはっきりいって面倒ですし、せっかくのノートPCなのに「DELL Inspiron 5447バッテリーを外しているので、電源プラグを抜いてしまうと完全に電源が切れてしまう」という状態なのは、正直使いにくいでしょう。

サポート情報を引用したLenovoのように、一部のメーカのノートPCは充電量まで調節できるユーティリティを持っているので、それを使えばフル充電のままでの運用を防ぐことができます。しかし、その手のユーティリティが付いていないノートPCも多数存在します。このようなノートPCは、劣化することを承知の上で使い続けるか、保管環境を整えてバッテリーを外しておくしかないのでしょうか?

というところで本題。今回の「Smart Battery」は、そのような「充電管理ユーティリティ」が標準で用意されていないノートPCでも使うことができる「バッテリー管理フリーソフト」です。これを使えば、「フル充電のままノートPCを使い続けて、ほとんど使っていないバッテリーが死んでしまう」という状態を防ぐことができます。

移動性やサイズの問題から自宅でもデスクトップではなく、ノートPCを(あるいはサブとして)普通に使っているという人はかなり多いと思うのですが、そのような使い方でもやっぱり気になるのは N550J バッテリーの寿命。「たまにバッテリーで駆動させようと思ったら、ほとんど持たない」「コンセントから給電しっぱなしだったのに、猛烈にバッテリーが劣化してる」という現象は多くの人が体験しているはず。「ほとんどバッテリーを使ってないはずなのに、もう寿命?」と疑問に思うことも多いのでは。リチウムイオンバッテリーは消耗品なので、普通に「利用→充電」を繰り返すことによって徐々に劣化していきます。(例として一番わかりやすいのは携帯電話のバッテリー。)が、その「通常のサイクル」以外にも(場合によっては急激に)劣化する原因があり、それは主に下の三つだといわれています。

高温(熱)

過放電

限界まで充電したままでの再充電・利用・保管

設定を変えて充電量を変えたい場合

(初回の設定時を含めて)100%充電の設定からBalancedなどに変えたい、あるいは外で使いたいのでバッテリーを100%充電したい、などの充電の設定値を変えたい時は、作業に一手間必要になります。設定を変更しても即座にバッテリーやシステムには反映されません。

まずSmart Batteryの設定を変更したい値に変えて、その後バッテリー駆動のまま使ったり放置したりしてバッテリーの残量を減らしてください。例えば充電量を50%に制限している場合は、表示は100%でもバッテリー自体は50%までしか充電されていないので、あっという間にバッテリー残量が減っていくはずです。逆に初回の設定時などはフル充電から減らすことになるので多少は時間がかかるでしょうが、いずれにせよ充電量を減らす必要があるのでバッテリー駆動で起動させておきます。(ノートPCはバッテリー残量が少なくなると自動的に休止かスタンバイモードに移行するはずなので、無操作で休止・スタンバイになる設定を解除しておけば、電源プラグを抜いて放置しておくだけでもOKのはず。)

頃合いを見計らって電源プラグを差し直せば、自動的に充電モードに移行して「Battery Full Charging」ならバッテリーの限界まで充電され、「Balanced」なら充電量が75%、「Extended Battery Life Cycle」だと50%になった瞬間にHP BL06042XL バッテリー残量が100%に切り替わって充電が終わります。(テスト環境ではギリギリではなく、余裕を見て20~30%ぐらいまで減らしてから充電した。)

なおテスト環境では特に問題は起きませんでしたが、使用PC環境(ハードやソフト)によっては設定を変えたあとにPCを再起動した方がいいかもしれません。

バッテリーを実質使ってなければ、外して保存が原則

もちろんすべてのノートパソコンに当てはまるわけではありませんので、念のためメーカにはご確認ください。

形だけバッテリが刺さっていても、バッテリーが劣化しきっているとか、そもそも不良のバッテリーがパソコンに装着されているだけでは本来のバッテリの役目は期待できません。

ところが長年バッテリーを刺しっぱなしで、かつ何も意識しないでいると、劣化しきっていることも気がつかないことが往々にしてあります。

これをチェックするのは簡単です。

いったんパソコンの電源を切って、電源アダプタのプラグをパソコン側から抜きます。つぎに、パソコンの電源スイッチを入れます。ここでパソコンが立ち上がってこないか、途中で切れたら、バッテリーが知らない間に劣化していたか、メモリ効果(ニッカド系バッテリー)でフル充電出来ないか、はたまたバッテリ内部ヒューズがとんでバッテリパックが故障している状況などが考えられます。ちゃんと立ち上がってきたら、バッテリーの充電状況を数字で確認できれば有る程度の目安が付きます。

直前まで連続して使っていた訳ですから、すくなくともその数値が70%以上、もっとあるはずです。

市販されているパソコンにはノート型とデスクトップ型の大きく分けて2種類あります。バッテリといえば、どんなメーカのどんな型のパソコンにも例外なく入っている時計を動かす小さな電池(通常はボタン電池)が一個はいっています。この Lenovo W550s バッテリーは抜くことはできません。

その他に、ノート型にはバッテリパックという単三電池のような小さな電池が何本も束ねてあるバッテリがあります。これはAC100V電源が無くても使えるようにバッテリパックから電源の供給を受けれるようにしている仕掛けです。

他方、デスクトップ型パソコンにはそのバッテリパックに相当する仕掛けはありません。常時AC100V電源が使えることを前提に作られていて電気が来ないときのことは一切考えられていません。

なにをいいたいかといえば、コンピュータの仕組みにとっては安定な電源を供給してくれるものならば、バッテリであろうが、AC電源であろうが、風力発電でも、太陽光発電でも、燃料電池でも、・・・なんだってかまわないのです。

そこでノートパソコンの仕組みを見ると、私がこれまで見たパソコンではバッテリを外しても特に問題がないものでした。

というのも、もしバッテリパックを付け忘れて、AC電源でスイッチを入れたらパソコンが壊れてしまうような設計をしていたら故障品の山が戻ってくるでしょう。人というのは注意書きとかは見ずにスイッチを入れるものだからです。

ですから、メーカとしてはどんな使われ方をされようとも簡単にこわれるパソコンを出したらクレームの嵐に遭うのはわかっているので、そこはあらゆる想定を考えて安全なようにつくるものです。

こういう背景がありますが、それでも念のためメーカにお尋ねください。

通常、 バッテリーを使おうが使わまいが、バッテリーが刺さっているだけで不意の停電には見事に役割を果たしてくれます。

これがメリットになるでしょう。しかし、雷と電力会社の事故を除いて、日本の電力事情で瞬間でも停電になることは年間を通しても限りなくゼロと言えます。東京電力の停電危機が昨年はありましたが、これは例外と言えます・・・・

その前提では、いつも机の上で置きっぱなしで使っているノートパソコンにバッテリーが刺さっているメリットはなく、むしろバッテリ自体にとってはデメリットになると考えています。

パソコンが壊れる原因TOP3は?PCの寿命を伸ばす3つのコツ

パソコンが壊れる原因TOP3と、PCが長持ちするコツとは。衝撃、熱、端子の故障に注意しつつ、こまめな放熱や掃除、耐震を心掛けましょう.

はじめに

こんにちは、パソコンサポーターの矢野勇雄です。

故障したパソコンを修理に出すと、結構なお金がかかります。

しかしこうした故障も、ある程度は工夫次第で防げるものです。

今回は、以下3つのポイントについて、故障を避けるコツを考えてみます。

  • 熱による故障
  • 端子の破損
  • ハードディスクの故障

1.置く場所の工夫とこまめな掃除で熱を逃がす

パソコンの内部はかなり熱くなっています。

正常に動作しているハードディスクでも、40度ぐらいの温度になります。

通常、これぐらいの温度でパソコンが壊れることはありません。

パソコンには熱を逃がす仕組みが備わっていますし、ハードディスクも60度までぐらいは動作するように作られています。

しかし何らかの理由でパソコン内から熱を逃がすことができないと、ハードディスクの温度は60度を超えてしまいます。

このようなことが起きないように

通風口が背面や側面にあるデスクトップパソコンでは壁から離して設置しましょう。

ノートパソコンの場合は、クッションやベッドの上などで使うのは、短い時間にとどめましょう。

ファンのないノートパソコンは底面から熱を逃がすので、熱がこもりやすくなるからです。

ファン付きのノートパソコンでも、底面にある通風口を塞いでしまうことになります。

ほこりは定期的に掃除する

他に放熱を妨げる原因になるのが、内部に溜まったほこりです。

定期的に掃除をしましょう。

ケースの外から掃除機を使って、ほこりを吸い取りましょう。

ただし掃除機は静電気が溜まることと、吸引力が強いので注意が必要です。

マニュアルなどで清掃の仕方を調べておきましょう。

ふたを開けて掃除する場合

ふたを開けて掃除する場合、掃除機の吸い取り口は静電気を帯びていることが多いので、部品に接触させてはいけません。

故障の原因になります。

内部の掃除にはエアダスターやブラシを使いましょう。

エアダスターを使ってほこりを飛ばす場合には、ほこりが奥に入り込んでしまわないよう、風の向きに注意しましょう。

2.端子の故障は抜き差しの注意で回避

USB端子やSDカードのスロットの端子が壊れると、修理に4~5万円以上もかかることがあります。

パソコンの端子の多くは、内部にあるマザーボードに直接取り付けられています。

これらが壊れると、そのマザーボードを丸ごと交換することになってしまうからです。

端子の「向き」に気をつけよう

壊しやすい端子は、抜き差しが多いUSB端子やSDカードスロットです。

修理依頼の多くは「端子の裏表を間違えて、無理に押し込んでしまった」ことが原因です。

USBケーブルやSDカードは力を入れると逆向きに入ってしまい、端子を壊してしまいます。

差し込む時は必ず向きを確認しましょう。

また引っ掛かりを感じたときは無理をせずに、向きを再確認しましょう。

3.無用な振動や衝撃を与えない

ハードディスクが故障すると、OS(Windowsなど)が起動しなくなるうえに、大事なデータを失うことにもなります。

日頃からバックアップを取っておくことは当然ですが、深刻な事態を起こさないために、注意すべきことを覚えましょう。

ハードディスクの故障原因No1

ハードディスクの故障原因で一番多いのは、衝撃や振動によるものです。

ハードディスクは磁性体を塗ったディスクにデータを記録します。

データの読み書きは「ヘッド」というアームの先端の部品によって行われますが、衝撃や振動があると、回転する記録面にヘッドが接触して、物理的にデータを破壊してしまいます。

ハードディスクにはある程度の衝撃や振動に耐えられる機構が備わっていますが、衝撃や振動を避けるに越したことはありません。

電源を入れたままパソコンを移動しない

ハードディスクに衝撃を与えないためには、電源を入れたままでパソコンを移動しないことです。

特に、一体型デスクトップやノートパソコンは動かしやすいので気を付けましょう。

省電力モードのとき

省電力モードに入った時は、ハードディスクの動作状況を示すランプが消えるまで動かさないようにしましょう。

特に注意が必要なのが、画面が消えたときです。

省電力モードに入るまで、しばらくの間、ハードディスクが動いていることがあります。

外付けハードディスクは倒れない置き方に

外付けハードディスクの置き方にも注意します。

倒れにくい場所に置くようにしましょう。

手元や足下に置いたりすると、誤って倒してしまうことがあるので避けましょう。

また、机の奥など誤って倒してしまうことのない場所に設置しましょう。

おわりに

パソコンは精密機械ですが、ちょっとした注意で故障は減ります。

日ごろからの工夫で、快適なパソコンライフを送れるようにしましょう。

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ノートパソコンにピー音がしたら緊急事態発生!直さないと買い替えになるかも!

音が鳴る前にチェックしておきたい!すぐ直さないと買い替えの可能性があるピー音についてまとめました!警告音が鳴ったら、すぐに三つの方法を試してみましょう。壊れる前に早め早めの対応がおすすめです。

解決策1.まずはノートパソコンの再起動を!

パソコンから「ピッピッピッ」「ピー・ピー」という音が聞こえたら、今すぐ直す手配を整えましょう。

今すぐに直さないと買い替える羽目になるかもしれません。PCは安くても4万、高ければ10万ほど。なるべく壊さずに使っていくことが家計や会社の助けとなります。

■精密機械は10年が限度

ノートパソコンは通常の使用範囲では10年以上継続使用できるようになっています。しかし通常の使用範囲を超えた時には「ピッピッピ」「ピー・ピー」という警告音(別名:ビープ音)が発生します。

つまり、この警告音が聞こえたら故障が末期状態になっているということです。精密機械が異常をきたす場合は、もう捨てるしかない状況の場合も。
■何よりも恐ろしい!データの損傷

PCのなかには個人情報などのデータが大量にあるモノです。故障する前に先んじて、PCで警告音が出た際の直し方を学び慌てずに対処できるようにしましょう。
警告音が聞こえたら、まずはパソコンの通常位置から電源を切ります。パソコンのマウスが反応しないときは電源を切って強制的にシャットダウンしてください。ただし、強制シャットダウン(電源ボタンで切る)は、かなり危険な行為です。

■切った後は、再起動します

その後、ノートパソコンを再起動します。この時、動作が多少ゆっくりでも焦らせないようにしましょう。

もし、電源を切って再起動しても改善が見られない場合や、違う音が聞こえてきた場合は「解決策2」を実行してみましょう。
解決策2.ノートパソコンの電源を切り、5分間放電する
警告音がしたからノートパソコンを再起動しても動かない。そんな時は「放電」を行ってください。

まず、ノートパソコンを閉じます。この手順は「解決法1」と同じです。ノートパソコンが閉じたのを確認し、動作音がしないのも確認してください。

■詳しい放電の方法

その次に、ノートパソコンについているマウス・電源コード・USBその他ありとあらゆる部品を外します。特に電源コードをつけたままですと、放電ができないのでご注意ください。電源コードは、PCがシャットダウンされたあとでしたら外しても故障の原因になりません。
 
USBやマウスは普段、抜き差しのためにはメディアの取り外し機能を行うと思います。ただ、放電をする際は緊急事態ですので、ここもあまり考えなくても構いません。むしろつけたままの方が故障の原因になるため、きちんと外しましょう。その上で、ノートパソコン本体のバッテリを外し5分待ちます。

これを、「放電」と言います。

■放電とは?

言葉通り、電気を放出することで、実は定期的に行う必要があるものです。ノートパソコンは電化製品です。電化製品であるがゆえに、電気が一定以上内部に溜まってしまい動作不良になる場合があります。

ノートパソコンの様々な不具合の時には、この「放電」が効きますし、今回のように警告音が出た場合には、劇的な効果を示します。

もしこの「放電」でも効果がない場合は、「解決策3」を試してください。
再起動と放電を行っても解決しない場合は、「システムの復元」を行います。「システムの復元」は「警告音のしない状況に戻す」ことです。
システムの復元ポイントが多数ある場合は、故障する直前を選んでください。警告音が鳴る大体の理由は、新しいソフトがインストールされたことなどによります。

バッテリーはなぜ“へたる”のか?

以前に比べ、バッテリーの持ちが悪い――。そうした疑念を感じていたら、それはバッテリーが“へたっている”せいかもしれない。

 実際、2013年1月から使用しているパソコン「ThinkPad X1 Carbon」で現在の満充電容量を見ると、工場出荷時の状態に比べ約72%に減っていた。約1年11カ月で30%近く減ったことになる。バッテリーがへたってきているのだ。
 バッテリーがへたるのは、内部の化学変化が原因だ。京都大学が2012年10月に発表した研究成果によると、時間の経過に伴い、正極表面にあるコバルトが化学変化を起こし、その部分にリチウムイオンを通しにくい膜ができる。リチウムイオンの移動が妨げられることになり、結果としてバッテリー容量の低下を招くことになる。
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バッテリー長寿の秘訣 ノートパソコン編
バッテリーはなぜ“へたる”のか? (2/4)
露木 久修、山崎 洋一=日経パソコン、原 如宏=ライター 2015/03/05 日経パソコン
出典:日経パソコン 2014年11月10日号
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)目次一覧

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“へたり”促進の要因

 この化学変化を促進する要因は2つある。「サイクル劣化」と「保存劣化」と呼ばれるものだ)。
 サイクル劣化は充放電のサイクルを繰り返すことで起こる。バッテリーの充放電サイクルを繰り返すと、600回を超えるあたりで容量が急激に減っていく。
そこで、定格容量の50%になるあたりをバッテリー寿命とするメーカーが多い。以前は500回程度というのが一般的だったが、最近では劣化の進行を食い止める改善が進み、600~800回とすることが多いようだ。
なお、ここで言うサイクルとは、図5のように「0から100%まで」を1回としてカウントする。継ぎ足し充電をした場合、充電量が合計100%になった時点が1サイクルだ。
 さて、もう一つの劣化、すなわち保存劣化はただ放置しておいただけで起こる現象だ。NTTドコモの研究などによれば、満充電の状態、つまりバッテリーセルに高い圧力が掛かった状態で保存しておく方が劣化の進みは速いという。また、「高温の環境下で使うと、保存劣化がより速く進行する」(レノボ・ジャパン ThinkPad電源技術 松本 健次長)。

80%充電の功罪

 サイクル劣化はユーザーには防ぎようがない。バッテリーがなくなったら充電するしかないからだ。一方、保存劣化への対策はある。高温の環境下で使うことを避け、満充電の状態での保持を少なくすることだ。

 例えば、充電を80%程度で止めるユーティリティソフトが付属する製品がある(図6)。80%程度で充電を止める方が、バッテリーには優しい。ただ、必ずしも「満充電にしたからといって、それほど気に病む必要はない」(パナソニック 星野主任技師)。充電後すぐに使うのであれば劣化は進みにくいし、80%しか使えないよりも、目いっぱい使えた方が当然使い勝手は良いからだ。
では、ACアダプターを付けっぱなしの状態だとどうなるか。これは図7のような動作となる。満充電に近い範囲で充放電を繰り返すわけだ。ただ、これも必ずしも悪いわけではなさそうだ。レノボ・ジャパンの場合、「ACアダプターを付けたまま使っても、電圧を自動的に調整することで保存劣化をできるだけ防いでいる」(レノボ・ジャパン 松本次長)という。
 なお、ACアダプターを付けたままで使い続ける場合、注意点が1つある。それは、月に1度くらいの頻度で充放電した方がよいということだ。充放電によって、バッテリー内部が活性化し、劣化が防げるという。

PCのディスプレイに傷がついてしまったときの対処方法

今や老若男女、誰でも毎日のように使うようになったパソコン。しかし、使い方はよく知っていても、トラブル処置の仕方は知らない…という人は意外に多いのではないでしょうか。

精密機械であるパソコン。それ故、丁寧に扱わないと僅かな衝撃でもすぐに傷ついてしまう恐れがあります。

今回は、そんな「PCのディスプレイに傷がついてしまったときの対処方法」について紹介します。

今回のハウツーは浅い傷の対処を想定していますので、黒い線が現れるような深いキズがついてしまった場合はメーカへの修理をお勧めします。

グレア型・ノングレア型とは?

PCディスプレイには、「グレア型」と「ノングレア型」の2種類があります。

グレア型:蛍光灯や背景が強くが映り込りこむ。コントラストが高い
ノングレア型:画面が反射しづらい。コントラストが低く、のっぺりとした印象。
今回紹介する方法を行う前に、まずは、お持ちのPCがどちらのタイプなのか確認しましょう!

小さなキズは「歯磨き粉」で擦る!

数ミリ~数センチ程度の擦ったような軽いキズの場合、消しゴムで軽く擦るだけでも対処できることがあります。強く擦らず、優しくゆっくりと擦ってみましょう。

それでも上手く処置できなかった場合は「歯磨き粉」を使ってみましょう。

やり方

まず、歯磨き粉を皿やコップに少量出し、水で薄めます。その後、水で薄めた歯磨き粉を指につけ、キズのある部分をクルクルと円を描くように擦るだけです。

指で擦っても状態が変わらない場合は、液晶画面ウエットタイプクリーナーやクリーニングクロスに水で薄めた歯磨き粉を染み込ませて、やさしく擦りましょう。

こちらの方法はグレア型・ノングレア型どちらでも対応できます。

大きなキズには「ガラス用コンパウンド」で磨く!

大きなキズでも、場合によっては軽い傷と同様に「消しゴム」で対処できることがあります。

それでも上手く処置できなかった場合は「ガラス用コンパウンド」を使ってみましょう。

やり方

まず、コンパウンドが隙間に入らないように、ディズプレイの縁をマスキングテープで保護します。

その後、コンパウンドを液晶画面ウエットタイプクリーナーやクリーニングクロスに染み込ませて、クルクルと円を描くように擦ります。

コンパウンドとは研磨剤のことであり、文字通り「削る」ものです。強く擦るとかえって状態を悪化させてしまう恐れがありますので、擦る際は優しく丁寧に行いましょう。

こちらの方法はグレア型に有効です。ノングレア型で行うと、擦った部分がグレア型の様に光沢がでる恐れがあります。

拭き取る際に使う布について

歯磨き粉やコンパウンドをディスプレイから拭き取る際には、使用する布にも注意しましょう。

ウェットティッシュ:NG

ウェットティッシュには水分が多く含まれる為、ディスプレイのベタつきや拭き跡の元になる恐れがあります。

目の粗い布:NG

雑巾やハンカチなど、目の粗い布で拭き取ろうとすると、ディスプレイをさらに傷つけてしまったり、糸くずが付着する恐れがあります。

液晶画面ウエットタイプクリーナー:OK!

液晶画面ウエットタイプクリーナーは、目が細かく水分量も適切なので、お勧めです。

液晶画面ウエットタイプクリーナーがない場合は、眼鏡のレンズを拭く際に使われるクリーニングクロスでも代用可能です。

仕上げに「保護フィルター」でコーティング

以上の方法を行えば、完全に元通りにはならないものの、傷が目立たなくなります。また、仕上げに保護フィルターを貼ることでさらに傷跡を目立たなくさせることができます。

いちばん適切な対処法は「ディスプレイ交換」

これらはあくまで「応急処置」であり、取り扱い説明書には載っていない対処方法となります。

緊急性の低い場合、金銭的に余裕がある場合は、ディスプレイの交換など、取扱説明書に載っている方法を実践しましょう。

WordとExcelが使えれば十分!という人のためのモバイルPCの選び方

モバイルPCの購入を検討している方に、どんなPCがいいのか聞いたとき「WordとExcelが使えれば十分」と答える方は、どちらかというとPC初心者さんに多いかと思います。

今回は、WordとExcelが使えれば十分!という人のためのモバイルPCの選び方について、ご紹介します。
なぜWordとExcelがいいのか。

「WordとExcelが使えれば十分」ということですが、本当にWordとExcelが必要なのでしょうか。例えば、Googleにアカウントを作れば、Googleドキュメントが利用でき、Word、Excelなどと同様の使い方ができます。
インターネットは不要?

いまやインターネットで何でも調べられたり、動画や映画を観たり、友人とのコミュニケーションを図ることができたりするのは、ご存知のことと思います。

インターネットを利用するかどうか、どんな環境で利用するかによって選択するPCも変わってきます。例えば、作ったファイルをメールで誰かに送ったりするのでしたら、インターネットは必要になりますね。

オフラインだけの作業であれば、ワープロでも十分かもしれません。「最低限でいい」と言っても、人によって、状況によって、選択範囲はさまざまなので、最初に欲しいと思った機能以外についても検討しましょう。
画面の広さ、解像度

ちょっとした計算式やリストを作りたい場合は問題がありませんが、企業の経理のように、例えば、何千だとか何万などという単位の膨大な情報を扱う場合は、画面が少しでも広い方がいいかもしれません。

また、解像度が低いと見にくいでしょう。もちろん、通常の文字入力などでも、画面の広さなどで見え方は随分変わってきます。1つのファイルを見るときにスクロールが少ない方がいいなど、見え方についても注目しましょう。

一般的には15インチくらいの大きさであれば、過不足なく利用でき、初心者に薦められることが多いと思います。もちろん、使う人や利用環境などによって違ってきますので、実際に触って確認しましょう。
重さ

モバイルPCを選択する場合、やはり、できるだけ軽い方がいいと思う方も多いと思います。でも、軽いということは、DVDなどの機能は省かれているかもしれませんし、小さいPCは価格としても高くなります。

自分が持ち運ぶ頻度、距離などに応じて、選ぶ必要があると思いますが、基本的には自分が許容できうる中で一番大きなPC(軽さにこだわらない)を選ぶと価格的には抑えることができます。

重さはさまざまなので、持ち運ぶことを考えて選ぶのがいいと思いますが、ネットブックであれば、1kg~1.3kgくらいですので、持ち運びのに苦にはならないと思います。
大きさ

画面の広さの項でも触れましたが、持ち歩くのであれば全体の大きさも大切ですね。持ち歩くかばんに入るもの、別にケース等を用意するのであれば、普段の持ち歩き荷物との兼ね合いなども確認しておきましょう。

画面の項でご紹介したように、15インチくらいが一般的に薦められるものだと思います。画面の大きさによって、PCの大きさも必然的に決まってくると思いますが、持ち運ぶことを念頭に置いて選びましょう。
テンキーの有無

細かいことですが、Excelを使いたい、しかも作業を早く行いたいときなどには、テンキーがあった方がいいかもしれません。テンキーつき、あとからUSBなどでつけるものなどがありますが、テンキーの要不要も確認しましょう。

なんでもついているのが万能ではない

この先、何を使うのかもわからないし、色々入っていれば、何かと安心ということで、自分には釣り合わない上位機種を選んでしまったり、「なんでもできるのがいい」などと思って、選ぶのはやめましょう。

PCを使っていって、自分の知識が増えたり、欲しいものが増えたときには追加をすればいいかもしれません。最初からたくさん機能がついていると、結局使われないままの物が増えてしまい、もったいないのです。

例えば、反対にインターネット環境を整えるだけで、ネット上で使えるさまざまなサービスを探すことができたりもします。不要なものは極力なくし、本当に必要なものが使える環境を探しましょう。
触ってみる

どんなPCでも使っているうちに慣れてくるとは思いますが、キーボードなどの打ちやすさなど、自分に合うものを選べた方が長く使えますよね。量販店などに行き、色々なPCを見て、触って、比較してみましょう。

もちろん、見た目や使い心地だけではなく、メモリやCPU、ハードディスク、無線LAN等、自分に必要なものはついているのか、また、わからない場合は、各機能について店員さんなどに確認しましょう。
おわりに

一口に「WordとExcelが使えれば十分」と言っても、実はこんなこともしたかった、環境的にこういう機能が必要だったということなどもあり、これだけの希望では、自分にピッタリのモバイルPCを選ぶのは難しいと思います。

自分で調べたり、詳しい人に聞いたりしながら、「WordとExcel」以外にも目を向けて、それぞれの機能について、細かく検討していくことが大切だと思います。よいPCが見つかりますように。

[VAIO_PC] 電源が入らない場合の確認事項

使用環境を確認し、PC本体の放電を行います。

対象製品
VAIO PC 全般

説明
電源ボタンを押しても電源ランプが点灯せずに電源が入らない場合は、使用環境などが原因となっていないかをご確認ください。

以下の内容を確認しても電源が入らない場合は、本体の電源に関する故障の可能性があります。

電源を供給できていない

接続した周辺機器が影響している

メモリーなどの増設機器が影響している

使用環境(温度・湿度)による影響

目次

事前確認

対処方法
内容
【事前確認】

ACアダプターの通電ランプが点灯しているか、確認します。
点灯していない場合は、電源ケーブルが壁のコンセントにしっかり接続されているか、ACアダプターにしっかり接続されているか、確認します。
接続しなおしてもACアダプターのランプが点灯しない場合は、ACアダプターの問題の可能性があります。
VAIO サポートセンター「修理相談窓口」までご相談ください。

修理のご相談

ご購入直後 や 修理からの返却直後の場合

ご購入直後 および、修理からの返却直後は、輸送中の誤動作防止のため
ACアダプターを接続しなければ、電源が入らない様に設定して出荷しています。

そのため、ACアダプターを接続せずに、電源ボタンを押しても電源は入りません。
ご購入直後でバッテリー駆動にて電源が入らない場合は、ACアダプターを接続して再度電源ボタンを押してください。

VAIO Z をご使用の場合は以下のQ&Aを確認してください。
▼関連Q&A:
[VJZ13A*][VJZ13B*][VJZ131*] 電源が入らない

電源ボタンを押しても電源ランプが点灯せずに電源が入らない場合は、使用環境などが原因となっていないかご確認ください。
以下の内容を確認しても電源が入らない場合は、本体の電源に関する故障の可能性があります。
電源を供給できていない
接続した周辺機器が影響している
使用環境(温度・湿度)による影響
寒い戸外から暖かい屋内に持ち込んだり、湿度の高い場所で使用した場合は、本体の内部に結露が発生する可能性があります。
結露が発生している可能性がある場合は、1時間ほど待ってから電源を入れなおしてください。
メモリーなどの増設機器が影響している場合や、メモリーなどの増設後に電源が入らない場合は
可能であれば増設した機器をいったんはずして、電源が入るかを確認します。
対処方法
PC本体の放電を行い、現象が改善されるかをご確認ください。

本体に接続されているすべての周辺機器やケーブルをはずします。
バッテリー搭載モデルの場合は、バッテリーも本体から取りはずします。
バッテリーオフボタン搭載モデルの場合は、バッテリーオフボタンを3秒以上押します。

▼関連Q&A:
[VAIO_PC] バッテリーオフボタンの位置一覧

約5分間、そのまま放置します

5分以上が経過したら、電源ケーブル、またはACアダプターを接続します

電源ケーブル、またはACアダプターは、本体に付属の純正品をご使用ください。
【参考】
コンセントは、ほかの電気製品であらかじめ通電が確認できたものを利用してください。
また、延長ケーブルやタコ足配線のコンセントではなく、壁のコンセントに直接挿してください。

本体の電源を入れ、正常に起動できるか確認します。

PCをUSB Type-C/USB PD対応モバイルバッテリーで充電する新しい使い方

今年はUSB Type-Cの当たり年と言ってよいほど、USB Type-Cに対応した機器が増えている。モバイルノートPCも同様で、今年のモデルからUSB Type-C端子が搭載したノートPCが爆発的に増えつつある。

そうした製品に、USB Type-C、そしてUSBに大電力を供給する仕様であるUSB PD(PowerDelivery)に対応したモバイルバッテリーを組み合わせると、1日バッテリーで利用できるノートPCの使い方が可能になるのだ。

 現状一般的なノートPCに採用されているCoreプロセッサのUプロセッサ搭載のPCが必要とするような45W、65Wに近い給電を可能にしているUSB PD対応モバイルバッテリーで日本国内で正規に販売されているのが、ASUS JAPANが販売しているZenPower Maxになる。

本記事ではそうしたUSB PD対応モバイルバッテリーでPCが充電出来るようになる背景、実際の使い勝手などについて紹介していきたい。

デジタルの標準端子の座を獲得したUSB、新しいUSB Type-C端子へ徐々に移行

 デジタルの世界で標準規格の端子としての座を獲得しているのがUSB(Universal Serial Bus、ユーエスビーと発音する)であることに異論を唱える人はいないだろう。1996年にIntelやMicrosoftなどが中心となって規定されたUSBは、当初はPCに周辺機器を接続する規格としてスタートした。

その後、USB1.1(1998年)、USB 2.0(2000年)、USB 3.0(2008年)、USB 3.1(2013年)と進化してきて、まもなく新しいUSB 3.2という仕様が規定される予定になっている。

 そうしたUSBの端子で、最近注目を集めているのがUSB Type-C(ユーエスビータイプシー、省略する場合にはUSB-C/ユーエスビーシー)端子だ。USB Type-Cは”USB Type-C Specification”という仕様書の中で規定されている端子で、従来のUSB機器で一般的に利用されてきたStandard-A端子、Micro-AB端子などに変わって、今後普及することが見込まれている。

既に2015年頃から搭載機器は発売されており、PCでは2015年にAppleが発売したMacBook(2015年型)に初めて採用された。その後Windows PCなどでも採用が始まっており、特に今年発売した製品ではプレミアム向けのPCを中心に採用が進んでいる。

USB Type-Cは、従来のStandard-A端子の弱点であった大きさ、リバーシブルではないこと、そしてMicro-B端子の弱点だった大容量の電流を流すことができない点を補うために作られた。

端子は両面どちらも使うことができるリバーシブルで、かつコンパクトでありながら大容量の電力を流すことが可能になっている。また、Altモードと呼ばれる、USBのケーブルを利用して他の規格(DisplayPortやHDMIなど)のプロトコルを流すことができるのも特徴で、USB Type-Cのケーブルを利用してディスプレイ出力を行うなどの使い方もできるようになっている。

 こうした特徴を持っているため、今後USB Type-CはStandard-AやMicro-ABを置き換えていくことになると考えられている。ただ、既にUSBポートはある意味社会インフラの1つになっており、空港や駅といった公共スペースや、航空機や列車の中などにもUSBポート(Standard-A)が備えられていることが増えている。それらがUSB Type-Cに置き換わるまでには10年単位での時間が必要になると考えられるため、時間はかかるとは思うが徐々にUSB Type-Cになっていくだろう。

USBはType-C以前から、スマートフォンやタブレットの充電に活用されてきた。USB 2.0までは5V(電圧) 0.5A(電流)=2.5Wの電力をデバイスに供給できる仕様になっており、ちょうどフィーチャーフォンの充電器の5VのACアダプターと電圧が同じことに注目した人達が、フィーチャーフォン用のケーブルを開発して、PCのUSBポートをフィーチャーフォンの充電に使い始めた。

その後USBのStandard-A端子を持つACアダプタが発売され、PCからではなくUSB ACアダプタにスマートフォンを接続して充電する、そういう使われ方が一般的になっていったのだ。

 だが、ACアダプタでは電源コンセントがあるところでしか充電できない。であれば、どこでも充電できるように…と企画され発展してきたのがモバイルバッテリー。フィーチャーフォン時代には充電に必要な電力も小さかったこともあり、乾電池だったりしたが、大容量の電力を必要とするスマートフォン時代にはリチウムイオン電池が一般的になり、現在に至っている。

 しかし、それでもPCを充電するというモバイルバッテリーは登場しなかった。というのも、従来のUSBの規格では、PCを充電できるほどの電力を供給することができなかったからだ。USB 2.0までは5V/0.5A=2.5W、USB 3.0では5V/0.9A=4.5Wしか規格上は給電することができない。その後、それ以上の給電ができる仕様も登場しているのだが、それでも30Wや45W、65Wといったもっと大きな給電を必要とするPCには十分ではなかったのだ。

 その状況を大きく変えつつあるのが、USB Type-C端子とほぼ同じタイミングで規定されたUSB PD(Power Delivery)と呼ばれる規格だ。USB PDは、従来のUSBの規格ではカバーできなかったような大容量の電力を給電する仕様。最大で100Wまでの電力を供給することが可能になっている。

このため、USB PDに対応したACアダプターでは、45W、65Wなどの大容量の電力を給電でき、PCを充電することも可能になっているのだ。もう1つ重要な事は、USB PDは標準仕様なので、USB PDに対応したACアダプタは、他社製のものであっても利用可能ということだ。

ただし、どれでも使えるかと言うとそうではなくて、少なくともPCが必要とする電力量よりも高い電力を供給できる必要がある。そうした条件は付くものの、純正のACアダプターしか使えなかった従来の状況から比べると飛躍的に自由度が増す、そういう時代になりつつある。

 実際、筆者はAppleが同社のMacBook Pro用に販売している61W USB-C電源アダプタ(MNF72J/A、7,400円/税別、Apple Store価格)とUSB-C充電ケーブル(2m) (MJWT2AM/A、2,200円/税別、同)を、LenovoのThinkPad X1 Yoga(Gen2)に利用している。

Lenovoの純正品であるLenovo USB Type-C 45W ACアダプター(4X20M26255、5,400円/税込、Lenovoオンラインストア価格)、Lenovo USB Type-C 65W ACアダプター(4X20M26271 、5,400円/税込、同)ももっているが、Appleの61W USB-C電源アダプタはケーブルが分離する形になっており、他の機器とUSB Type-Cのケーブルを共有できるという点を評価してこの組み合わせで使っている。

Lenovo純正品のLenovo USB Type-C 65W ACアダプタに比べてやや給電量は減るため、若干充電時間は長くなるが、それでもLenovo USB Type-C 45W ACアダプターよりも短い時間で充電できるため重宝している。

Lenovo純正品ではない、61W USB-C電源アダプタ(MNF72J/A)とUSB-C充電ケーブル(2m) (MJWT2AM/A)で、ThinkPad X1 Yoga(Gen2)を充電しているところ。20.3V/2.79A=56.637Wで充電できている。LenovoのType-C充電器がケーブルが分離できないのに対して、Appleのそれはケーブルが分離できるのが便利

 今後はこうした、メーカー純正品ではないACアダプタをPCでも使うということが当たり前になっていくだろう、そのための標準規格なのだから。そうなると、何がいいかと言えば、本体が必要とする給電量以上のUSB Type-C ACアダプタを購入すれば、どれでも使えるようになる。今だとACアダプタを家に忘れてきたことを空港で気がついたら、慌てて取りに帰るということになると思うが、これからは出先でUSB Type-CのACアダプタを買えば良い。

あるいは今までは同じメーカー同士でしか貸し借りできなかったが、今後は他メーカーのACアダプタでもUSB Type-Cであれば貸し借りできる、今のスマートフォンのUSB充電器がそうであるように。また、将来的にはホテルの部屋や飛行機に、USB PDの給電に対応したUSB Type-C端子が用意されており、それにつなげば充電できる、そういう時代になるだろう。

●60WのUSB PD給電に対応するZenPower Max。Core UなPCも楽々充電

 モバイルバッテリーの中にも、USB PDに対応した製品が登場しつつあり、それを利用するとUSB PDのACアダプタに対応したPCを充電することが可能になる。つまり、モバイルバッテリーを、ACアダプタの代替として利用することができるのだ。

 筆者が利用しているのは、ASUSTeK Computer(以下ASUS)の日本法人ASUS JAPANが販売するZenPower Maxだ。ZenPower Maxは昨年販売開始されたモバイルバッテリーで、96Whの大容量のリチウムイオンバッテリーを内蔵している。

Standard-AのUSB端子を2つ、USB Type-C端子を1つ搭載しており、前者はスマートフォンやタブレット(QuickCharge 2.0に対応)を、後者ではPCなどUSB PDに対応した機器を充電できる。

なお、ASUS JAPANのプレスリリースには一言もUSB PD対応とは書かれていないのだが、グローバルな製品情報にはUSB PowerDelivery対応と書かれているので、無論USB PD対応となる。

なぜ、ZenPower MAXを選んだのかというと、筆者が検討した時点では、日本で販売している他のUSB PD対応モバイルバッテリーはいずれも、USB Type-C/USB PDの出力電力が30Wまでで、ThinkPad X1 Yoga(Gen2)の45W以上のACアダプタに対応という本体側のニーズを満たすことができなかったからだ。

30Wでも充電できるPCは、DellのXPS 13 2-in-1のように、CPUに消費電力が少ないYプロセッサのCoreプロセッサを採用している場合が多く、一般的なノートPCに搭載されているUプロセッサのCoreプロセッサでは45W以上ということが多いのだ。

USB-CのACアダプタになるMacBook Proも、前出の61W USB-C電源アダプタ(MNF72J/A)がバンドルされているので、ACアダプタ利用時とあまり変わらない充電速度を実現するには、やはり60Wの出力が出せるZenPower MAXのようなUSB PD対応モバイルバッテリーが必要になる。 

容量は96Wh、ThinkPad X1 Yoga(Gen2)の規定バッテリーが56Whなので、1.8回分充電できる容量を備える。もちろん、バッテリーはへたるし、何よりも給電、充電の際にロスが発生するので、計算通りに行くわけではないが、一回分充電した後で残りを確認してみると、4つあるインジケータの2つが点灯しており、つまり25~50%の間の容量が残っていると確認できた。

専用のACアダプタは惜しいが、ZenPower Maxと組み合わせるとPCの駆動時間を1日に延ばせる

 このZenPower Max、ここまでの話しではかなりよさげに思えるかもしれないが、2つ弱点がある。1つはせっかくUSB Type-C端子があるのに、そこからはバッテリーそのものを充電することができないこと。充電には付属の専用ACアダプタを持って行く必要がある。

高速に充電できるメリットはあるのだが、そのためだけにわざわざ専用のACアダプタを持って行かなければならないというのはちょっと残念な仕様で、ぜひ次期モデルではUSB Type-CのACアダプタで充電できるようにして欲しい。

もう1つは重量だ。96Whという”モバイル”バッテリーとしては最大級の電力量のバッテリーを内蔵していることもあるし、ケースがとてもしっかりしているので、565gとモバイルバッテリーとしてはかなり重量級と言える。

その代わり多少手荒に扱っても安心なのは良いのだが、それでも565gはちょっと重い。筆者としてはPCを一回充電できればいいので、容量は半分ぐらいか2/3ぐらいで十分で、やや容量を減らして軽量化したモデルが欲しいところだ。

 こうしたZenPower Maxの使い方としては、普段はもって歩かず(重いし…)、必要だと想定される時だけもって歩くようにしている。というのも、筆者のThinkPad X1 Yoga(Gen2)、使い方にもよるが概ね6~8時間程度はバッテリーで利用できるため、2時間ぐらいの取材や会議+数時間のノマドワークぐらいであれば特にACアダプターが無くても問題ないし、そのノマドワーク時に充電すればバッテリー不測が頻発することはないからだ。

 しかし、時には1日ACアダプターにつなげない時もある。例えば、テクノロジーカンファレンスの取材などがその例で、1日朝から晩までプレゼンテーションを聞きながらPCでメモを取る時がある。そういう時は電源があるところに行ってる暇がなかったりするので、なんとかバッテリーだけで1日持たせないといけない。

かなり省電力に使えば8時間近く持つものの、朝8時~夕方18時までのカンファレンスとか言うときは厳しい。そういう時に、拡張バッテリーの代わりとして、ZenPower Maxを持って行っている。例えば、お昼ご飯を食べている時に、このバッテリーにつないでおけば、ほぼ0%の状態でも1時間ぐらいでほぼ80%ぐらいまで充電することができていた。これをもって歩けば1日以上PCを使い続けられる、そういう環境をゲットできるということだ。

 もちろん、だったら最初からPCにもっと大きなバッテリーを搭載してくれよ…と思うのはもちろん筆者もそう思うが、現状では大きなバッテリーを積むと、今度は重いと言われて売れなくなるという問題がある。そう考えればノートPCの設計者が大きなバッテリーを搭載できないのも道理で、そこは長時間が欲しいユーザーが工夫する必要があると筆者は考えている。

 その1つの手段として、今後PD給電可能なモバイルバッテリー、長時間駆動が可能なPCを必要としているユーザーには福音となるのではないだろうか。ぜひともZenPower Max以外にも、60Wや45Wといったより大電力を供給できるUSB PD対応モバイルバッテリーが登場することを期待して、この記事のまとめとしたい。